ISDS条項(Investor-State Dispute Settlement)
投資家 対 国家 紛争解決
ある国にどこかの企業が投資をしたとして、その国が投資
協定に違反した場合、企業がその国を相手取って仲裁を
申し立てられる条項。
分かりやすく言うと、多国籍企業が国を訴えることができる。
今、企業と国とが争う裁判で、企業に有利な判決を、
国際裁判所は下しているのではないか?と、世界で
問題になっています。
国が企業に土地の汚染を引きおこすとを禁止したり、
経営責任者を公正な理由で起訴しとしても、それに対し
企業側が、ビジネスの妨害をしたとして、国際裁判所に
訴えて国に多額の(億単位)のもの、賠償金を要求できる。
しかも、この裁判所での判決はほぼ、絶対であって、
一国家であっても聞き入れてもらえることはないそうです。
また、裁判の審議も決定内容もすべて非公開で、判決を
下す人は、欧米の大企業弁護士で構成されているという。
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ここで、多国籍企業(投資家)=先進国
国=途上国
と置きかえて投資協定を結ぶとしたら、先進国と途上国が
結ぶことになります。
実際、ISDS条項とはこのような場合が含まれています。
ですので先進国の企業投資家が安心して小さな途上国に
投資できる保険としての機能もあるのです。
過去、日本も数多くの途上国と投資協定を結んでおり、
今までは、特に問題がおきなかったわけですが、
今後の米大統領の指針によっては、TPPなどに適用されて、
別の問題を引き起こすかも知れません。
なにしろ訴訟大国の米国が絡んでくると、簡単にはいきません。
米国の世界大企業にとって不都合であるものに対して、
国の規制や制度にも訴訟があいつぎ、機能不全をおこします。
たとえば、米国のメーカーが日本で生産した製品が危険なもので
あると分かったとしても、米大企業からの訴訟を恐れて、
日本の監督官庁は規制できないかも知れないということです。
それがおらゆる食品にしても製品にしても雑貨にしてもです。
遺伝子組み換え食品のように日本政府がはっきりと規制している
ものですら、その規制によって損害を受けたとして米国企業から
訴訟をおこされて遺伝子組み換え規制もなくなるかも知れません。
海外では、タバコのパッケージに健康に関する警告文をだす
法律や水源がなくなるような採掘を禁止する法律を、企業の
都合で廃止させようとしていることもあげられます。
以下の3つは、私たちが世界各地を取材し、
発見したいくつかの事実だ。
⚫エジプトでは、ある人物のビジネス・パートナーだった不動産王
エジプトの人たちから何百万ドルもの金額をだましとる取引に
関わったとして、懲役5年を宣告された。これはタハリール広場
革命後、初めての汚職有罪判決の一つだった。
長年、汚職で利益を得てきたエジプトのエリートたちがようやく
罰せられるという希望が持たれたが、この不動産王は
エジプト政府をISDSで訴え、宣告された懲役を
なかったことにした。
⚫エルサルバドルでは、ある工場が、長期にわたって国の
指導を無視し、村を鉛で汚染していたことがわかった。
村には大勢の子供がいた。しかし、工場側の弁護士は
ISDSを使って、刑事訴追や地域の汚染除去、
必要な医療提供の責任を逃れた。
⚫インドネシアでは、3億ドル以上の横領で有罪判決を
受けた、金融業者2社が、ISDSを利用することで、
インターポールをかわし、資産を隠し、罰を無効にした。
これらの企業幹部たちは、自分たちの非を認めていない。
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