身近な胃腸の助っと
大根(ダイコン)
効能
胃もたれ・胸やけ・冷え性・発熱・喉の痛み・鼻詰り・頭痛
二日酔い・便秘・筋肉痛
アブラナ科 旬 9月~2月
「自然の消毒薬」ともいわれる大根は、わたしたちの胃腸を守って
くれる野菜です。
その薬効をしった先祖は、餅に大根おろしをあえた「からみ餅」や
刺し身にいろを添える「ツマ」など、日本独自の食文化を生み出して
きました。
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大根にふくまれるジアスターゼ消化酵素は、デンプンの消化をたすけ
食べ過ぎでの胃もたれや胸やけを予防改善してくれます。
また、大根の辛み成分は胃液の分泌をたかめ、抗菌作用や抗酸化作用
も抜群です・・・演技がへたで当たり役のない役者をあらわすとき
「だいこん役者」といいますね、これはいくら食べても「だいこん」は
「あたらない」から生まれた言葉なのです。
へたでも味はあるという思いやりのある逸話といえますね。
大根が日本に伝わったのは奈良時代で、「日本書紀」には「おおね」という
名前で登場し、「ダイコン」と呼ばれるようになったのは室町時代・・
江戸時代にはいり品種改良でいまのような野菜になりました。
春の七草の「すずしろ」は大根の別名で1月7日に食べる「七草粥」は
正月のごちそうつづきの胃腸をいたわる滋養食で、これも大根の効能を
活かした習わしということです。
普段、わたしたちが食しているところは根ですね、ビタミンCがおおく
酵素や栄養成分をこわさない大根おろしが最高です・・が時間をおくと
酸化してしまうので(成分劣化)してしまうので、おろしたてを食べる
ようにしてください。
また、葉の部分も大切にしたいものです・・その栄養価は緑黄色野菜の
代表ともいえるホウレン草や小松菜とおなじなのです。
ぜひとも、葉つきのまま手にいれて、味噌汁や炒め物に活用しましょう。
さらに、大根の葉をカラカラに干した干葉(ひば)はむかしから冷え性
に悩む女性が親しんできたもので、干葉にふくまれるミネラルや
硫化イオンが豊富にとけだしたお湯は、まさに温泉そのものです。
自宅で湯治をたのしめる、魔法の入浴剤といえるでしょう。
薬効をあやかる
⚫ 大根干葉湯・・・・冷え性
作り方
❶ 大根の葉を根元からきり、吊るして1週間 陰干しにする
❷ 乾燥した①(20g)を細かくきざみ、水(3リットル)で
20分間 煎じる
❸ ②をこしたものを浴槽にいれて完成
⚫ 大根おろし湯・・・発熱
作り方
❶ 大根おろし(50ml)をマグカップにいれておく
❷ ショウガのすりろし(小さじ1)、醤油(大さじ1~2)
を①にいれ混ぜる
❸ 熱い番茶(180ml)を②に注いで完成
⚫ 大根飴・・・・・喉の痛み・咳
作り方
❶ 大根(150g)を1cm角に切る
❷ ビンの密閉容器に①をいれ、ひたひたになるまで
ハチミツを注ぐ
❸ たまにかき混ぜて、半日ほどして、大根の水分が
でてきたら完成・・1回につき大さじ1が適度
⚫ 大根おろしの鼻の湿布・・・鼻づまり
方法
大根おろしを小皿一杯つくりそれの絞り汁を脱脂綿などに
たっぷりと浸し、5分~10分ほど鼻穴へいれると楽になる
⚫ 大根おろしの絞り汁の湿布・・・・頭痛
同上をこめかみに塗る
⚫ 大根 柿なます・・・・二日酔い
作り方
❶ 大根(200g)を千切りし、塩で揉んで水気をとる
❷ 柿(中1個)を大根と同じおおきさに千切りする
❸ ボウルに酢(大さじ2)、砂糖(できれば黒糖)小さじ3
塩(少々)をいれよく混ぜる
❹ ③に①と②をいれ、味をなじませる
⚫ 大根葉の青汁・・・便秘
作り方
❶ 大根の葉(20g)をみじん切りにしてミキサーにかける
❷ 大根の葉ペーストをガーゼでこす
❸ ②を同じ量のフルーツジュースで割ると完成(お好みで)
⚫ タマネギと大根とショウガの湿布・・・筋肉痛
作り方
❶ タマネギ(50g)をすりおろす
❷ 大根(50g)とショウガ(1片)は皮ごとすりおろし
①と混ぜる
❸ ②をガーゼにのせ、患部に貼りつける・・乾いたら交換
緑は予防 白は治療
長葱(ながねぎ)
効能
風邪・解熱・鎮痛・発汗・消炎・疲労・肩こり・冷え性・しもやけ
免疫強化・のどの痛み・鼻づまり・花粉症・関節痛
ヒガンバナ科 旬 10月~2月
大根が「自然の消化薬」ならば、さながら長ネギは「自然の風邪薬」
熱がでたらきざんだ長ネギたっぷりの味噌汁をいただく、のどの痛み
には長ネギを首に巻くなど、風邪の症状にまつわる暮らしの知恵は
誰しも1度は経験したことがあるでしょう。
長ネギが風邪に効く秘密は、ツンと鼻にくる独特の匂いあります。
白い部分にしかないアリシンという成分が、解熱作用や鎮痛作用に
すぐれているうえ、身体をあたためて発汗をうながしてくれる働き
があるのです。
*アリシンは細かくきざむことによって発生する
また、アリシンは疲労回復にも役立ちます・・なぜなら、炭水化物を
体内でエネルギーにかえるのにかかせない栄養素であるビタミンB1と
むすびつき、吸収をたかめてくれるから、江戸っ子が愛した「ねぎま鍋」
や「鴨南蛮」は長ネギの疲労回復に理にかなった料理なのです。
アリシンは長ネギの白い部分に多くふくまれていますが、緑の部分には
免疫力をたかめてくれるビタミンCやβカロチンがたっぷりと詰まっていて
風邪の予防には緑、ひいてしまったら白 と長ネギは、部位によって
それぞれの力で人の身体を守ってくれるのです。
薬効をあやかる
⚫ 長ネギ湿布・・・・のどの痛み
きざんだ長ネギをガーゼにくるみ首にあてる
⚫ 長ネギの鼻の湿布・・・・鼻づまり
きざみネギのアリシンが鼻の炎症を鎮め、呼吸が楽になる
⚫ ネギ味噌湯・・・花粉症
長ネギの白い部分がはいった味噌汁は、花粉症状をやわらげる
作り方
❶ 白いネギ(3cm)をみじん切りにする
❷ ショウガ(1片)をすりおろし、絞り汁をつくる
❸ おおきめの湯呑みや味噌汁わんに①と②、味噌(小さじ1)
砂糖(少々)をいれ熱湯200mlを注ぎよく混ぜる
⚫ 長ネギの煮汁・・・しもやけ
患部の血行を促進してくれる特効薬
5分間 ネギを煮たものを揉み込む
⚫ 長ネギ湯・・・関節痛
浴槽に長ネギの煎じ汁と塩をいれて入浴すると、関節の痛みがやわらぐ
いっきに 国民的野菜
玉葱(たまねぎ)
効能
疲労・血行促進・筋肉痛・イライラ・不眠・ 白髪?
ヒガンバナ科 旬 4月~5月
1年を通して手にはいる便利さと、お財布にやさしい価格で、日本の
食卓にもかかせない野菜のひとつであるタマネギですが、日本に
はいってきたのは明治時代というから驚きです。
はじめはなかなか馴染めずにいたのですが、コレラの薬になるという
噂によって爆発的に普及したそうです。
じつは、タマネギにコレラ菌を抑制する力はないそうです・・・
その薬効を語るうえで外せないのは、ねぎ臭のもとである硫化アリル
で、硫化アリルは「疲労回復ビタミン」ともよばれるビタミンB1の
吸収をたかめ、疲れをとるだけではなく、血行の流れもよくしてくれる
ので、筋肉のこわばりも改善してくれます。
古代エジプトで、ピラミッド建設にたずさわっていた人々が、英気を
養うために大量にタマネギを食べていたと伝えられています。
また、タマネギの匂いはイライラの改善や不眠にも効くとされ、
リラックス効果を生む先人の知恵が国をとわず伝えられています。
薬効をあやかる
⚫ タマネギと大根とショウガの湿布・・・筋肉痛
作り方
❶ タマネギ(50g)をすりおろす
❷ 大根(50g)とショウガ(1片)は皮ごとすりおろし
①と混ぜる
❸ ②をガーゼにのせ、患部に貼りつける・・乾いたら交換
⚫ タマネギの薄皮の煎じ汁・・・・イライラ
薄皮に心を落ち着かせる成分がある
作り方
❶ タマネギを使ったら捨てずにとっておく
❷ 一握りほどの薄皮を鍋に水(1リットル)といっしょにいれる
水量が半分になるまで煮つめる
❸ ②をこし、就寝前に100mlを目安に飲む
苦味が強いため、ハチミツを入れるか薄めてもよい
⚫ タマネギスライス・・・・不眠に効く
⚫ 酢タマネギ・・・・白髪?
作り方
❶ タマネギ(1個)をできるかぎり薄くスライスする
❷ ①とハチミツ(大さじ3)、黒酢(150ml)を密閉容器
にいれ全体をなじませる
❸ 冷蔵庫で4~5日 漬けこんで完成・・2週間で食べきる
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天下統一をささえた立役しゃ
大蒜(にんにく)
効能
疲労・風邪・冷え性・抗菌・虫さされ・滋養強壮・不眠
更年期障害
ヒガンバナ科 旬 6月~8月
数ある薬草や野菜のなかでも、疲労回復の特効薬として抜群の知名度
と実力を誇ります。
好きな人にはたまらない匂いは、長ネギにもある、アリシン成分に
よるもので、アリシンは体内でビタミンB1と結びつくと、アリチアミン
という物質に変化し、アリチアミンはビタミン剤にも配合されています。
疲れを取りのぞき、体力を回復させる働きにすぐれていて、ニンニクは
世界中の人々がむかしから頼りにしてきた生薬なのです。
ほかにもアリシンには、血行をよくする働きがあり、冷え性が改善されます。
さらに、加熱するとアジョエンという成分にかわり、これは殺菌力が高く
コレラ菌に対しても有効であると証明されています。
虫刺されに焦がしたニンニクをつけるという暮らしの知恵も、こうした
薬効を伝えるものです。
ニンニクは強壮剤、精力剤としてもつかわれてきた歴史ももっています。
これは、スコルジニンという成分の、疲労回復し、生殖機能をたかめて
くれる働きによるものです。
むかし、豊臣秀吉公は若いころ、戦場で首からニンニクをぶらさげ
ここぞというところで、味方の兵にもこれを与え、さげたニンニクを
かじりながら戦ったそうです。
天下統一をはたした原動力のひとつとしての、ニンニクの記録があります。
薬効の力強さがたよりになるニンニクですが、胃腸への刺激が強いため
食べすぎは禁物です・・・生で食べると舌をやけどするほどです。
薬効をあやかる
⚫ ハチミツ漬け・・・・疲労
ハチミツに漬ければ匂いは弱くなる・・皮をむいたニンニクを
ハチミツに漬け、冷蔵庫で1ヶ月ほど保存すれば食べごろ
ニンニクはきざんで薬味や料理の味つけにつかい、ハチミツは
お湯で割って飲むことができる
⚫ ニンニクの味噌玉・・・風邪
作り方
❶ ニンニク1片を薄皮をむき、オーブントースターや
フライパンなどで軽く焼く
❷ ①をすりおろし、味噌(小さじ1)と混ぜ合わせ、丸く
まとめる
❸ ②をオーブントースターなどでさらに焼き、軽く焦げ目が
ついたら湯呑みにいれて、180mlの熱湯を注ぎ 完成
⚫ ニンニク酒・・・・不眠
作り方
❶ ニンニク(300g)をホワイトリカー35度(1リットル)に
いれ広口ビンで3ヶ月 冷暗所で保存する
⚫ ニンニクショウガ酒・・・更年期障害
作り方
❶ ニンニク(50g)をみじん切り
❷ おろしショウガ(50g)と①、氷砂糖(300g)を
ホワイトリカー35度(1.8リットル)いれ 広口ビンで
2ヶ月 冷暗所で保存する
日本だけの健康野菜
牛蒡(ごぼう)
効能
消炎・抗菌・せき・口内炎・歯槽膿漏・湿疹・糖尿病
かゆみ・生理不順
キク科 旬 一年通し
縄文時代に薬としてあったとされるゴボウは、日本だけで食べ
られている野菜です。
むかしは今よりも かなり細めでしたが、改良をかさねて現在の
ような太さになりました。
しかし、無肥料・無農薬で栽培したゴボウは今でも細めですので
肥料があるか ないか のものなのかも知れません。
ゴボウは、水にさらすとすぐに赤茶の色がでますが、タンニンや
クロロゲン酸といった しぶみ成分が溶けだしたためで、これらは
抗菌作用・消炎作用にすぐれています。
そのため、古くからゴボウを咳止めの妙薬とし、口内炎や歯茎の腫れ
湿疹などの肌の不調にもつかい、かつては「盲腸もゴボウの絞り汁を
飲めば治る」といわれるほどの信頼があったと思われます。
栄養学が発達したいま、これまでに明らかにされてこなかったゴボウ
の力に注目があつまっていて、食物繊維のイヌリンが血糖値の上昇を
おさえ、悪玉のなかでもよけいなコレストロールを体外へだしてくれる
ことがわかったのです。
21世紀の現代においても、日本人の健康を支えるゴボウの底力に
期待をかんじずにはいられません。
薬効をあやかる
⚫ ゴボウの絞り汁・・・せき
皮をとったゴボウ(5cm)をすりおろし しぼり汁を飲む
⚫ ゴボウの茹で汁・・・湿疹・かゆみ
ゴボウ(100g)を水(200ml)で湯がいた茹で汁で洗う
⚫ ゴボウ酒・・・・生理不順
細かくきざんだゴボウ(2/1)本分をガーゼにくるみ日本酒に
漬けこみ 1週間で完成
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添え物でも 薬効は主役クラス
紫蘇(シソ)
効能
抗菌・下痢・食欲増進・免疫力アップ・老化防止・
切り傷・擦り傷・イライラ
シソ科 旬 赤シソ6月~7月 青シソ7月~9月
シソは種類が多く、やはり わたしたちになじみが深いのは
大葉とよばれる青ジソと梅干しなどにつかう赤ジソのふたつです。
シソの特徴ともいえる強い香りはペリルアルデヒドという成分に
よるもので、抗菌性にすぐれています。
かつては醤油の防腐剤としてシソをつかっていました。
その効果で、刺し身に葉や穂ジソをそえるのも、食中毒を防ぐための
ものです。
さらにペリルアルデヒドには胃液の分泌を活発にし、食欲をます
働きもあり、栄養素をみても 青じそは免疫力をアップするβカロチン
がたいへん多く、緑黄色野菜のなかでもカルシウムや鉄分も豊富で
トップクラスです。
いっぽう、赤じその赤色色素であるシソニンは、老化を予防してくれる
抗酸化作用にすぐれていて、単なる薬味やそえものではありません。
主役クラスの薬効がシソには、秘められているのです。
薬効をあやかる
⚫ シソの煎じ汁・・・下痢
200mlの水で3~5gの葉や花穂を煎じ、湯量が半分
になったら下痢止めの完成
⚫ シソの葉の青汁・・・切り傷・擦り傷
数枚のシソの葉を強くもみ でてきた汁を傷口に直接
⚫ 青ジソ茶・・・イライラ
作り方
❶ 青ジソ(3枚)よく洗い、粗くきざむ
❷ 湯呑みに①と塩(少々)をいれ、熱湯(180ml)を注ぐ
❸ ふたをして2分ほど蒸らし、香りがたったら完成
ゆっくりといただき香りを味わうのが効果がある